ヒアルロン酸注入で失明を起こす危険があると聞いたことはありますか?
ヒアルロン酸注射は、美容整形と医療の両方の分野で広く利用されています。
美容整形分野では、ヒアルロン酸注射は顔全体のボリュームアップや輪郭形成などに用いられます。
その中でも、かなり稀ではありますが、実は失明のリスクが存在します。
まず治療を受ける前に、リスクについて十分理解し、医師とリスクについて十分に話し合うことが重要です。
この記事では非常にまれではありますがヒアルロン酸注入における重大な副作用の一つである失明について解説します
目次
著者:ほうれい線治療専門クリニック
福岡Shiwa美容皮膚科 院長
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ヒアルロン酸注射で失明が起きる原因
ヒアルロン酸注射による失明の主な原因は、ヒアルロン酸が血管に誤って注入され、それが目に届く血流を遮断するためです。
いわゆる「血管塞栓」です。ヒアルロン酸が血管(眼動脈)に詰まることによってその先の組織に栄養が届かなくなり、失明が起きてしまいます
ヒアルロン酸注射で失明が起こりやすい施術箇所
特に危険な施術箇所は3つあります。
1つ目は鼻部です。鼻はヒアルロン酸注射でも特に人気の箇所ですが、鼻は鼻背部は特に注意を払う必要があります。
2つ目は眉間です。前額部、眉間は失明につながる可能性のある施術箇所です。
3つ目はほうれい線です。ほうれい線に並行して顔面動脈が走行していますが、その配置は個人差があるので注意が必要です。
それ以外にも、側頭部、頬骨部など注意が必要です。
ヒアルロン酸注射による失明リスクが高まる背景
ヒアルロン酸注射による失明リスクが高まる状況を認識することも重要です。
特に、経験の浅い医師による注射は注意が必要です。
また、施術箇所に手術歴がある患者様も注意が必要です。
血管の形状や位置が通常とは異なる可能性があるためです。
そのため施術箇所に手術歴のある患者様は事前に必ず医師に申告しましょう。
ヒアルロン酸注射による失明が起こった時の症状
ヒアルロン酸注射による失明は施術直後から突然起こることが多いです。
その初期症状は急激な視力の低下が起こる非常に進行度の早い視覚障害です。
その他の症状としては、眼痛、光が眩しく感じる、物が二重に見える、視界が暗くなるなどがあります。
これらの症状は一般的には急速に進行し、直後から数時間以内に出現することが多いです。
ヒアルロン酸注射で失明が起こった時の治療法
失明が疑われる症状が現れた場合、迅速な対応が必要です。
注射後すぐに視力低下や視界知覚が生じた場合、ヒアルロン酸が血管内に入り、目の血流を遮断している可能性が考えられるので、即時に救急・専門的な治療が必要です。
具体的な治療としては、ヒアルロン酸を溶かす薬剤であるヒアルロニダーゼの注入、
眼圧を下げる薬剤の投与、酸素療法などが行われます。
美容皮膚科のみでなく救急、眼科を併設している病院での処置が必要です。
ただし残念ながら一度失明してしまうと視力の回復はなかなか難しい可能性が高いです。
ヒアルロン酸注射による失明のリスクを減らすための対策
まずは施術する医師が顔面の解剖によって熟知することが重要です
また1か所に大量に急速に注入しないこと、異常な変化を見逃さず早期に発見することが重要です。
細すぎる針は血管への誤注入のリスクを上げる可能性があるので適切な針の細さの選択も必要です。
また、血管に誤って注入していないか確認する吸引テストもとても重要です。
ただしどんなに慎重な施術下でも失明のリスクはゼロではないのでしっかりと医師・患者間での情報提供も重要です。
患者さん側からは特に施術前のカウンセリングで「顔の手術歴(とくに鼻の形成術)」がある場合は必ず医師に伝えましょう。
まとめ
ヒアルロン酸注射は近年非常に人気の高い施術の一つです。
しかし、ヒアルロン酸注射はリスクもあり失明は非常に稀ではありますが、特に重篤なリスクの一つです。
まず治療を受ける前に、リスクについて十分理解し、医師とリスクについて十分に話し合うことが重要です。