ヒアルロン酸注射で「皮膚壊死(皮膚が腐る)」が起こるリスクがあることを聞いたことがありますか?
ヒアルロン酸注射は手軽に受けられるようですがもちろんリスクもあります。
その中でも、非常に稀ではありますが、特に重大な副作用である「皮膚壊死(皮膚が腐る)」のリスクが存在します。
まず治療を受ける前に、リスクについて十分理解することが重要です。
この記事では非常にまれではありますがヒアルロン酸注入における重大な副作用の一つである皮膚壊死のリスクについて解説します。
目次
著者:ほうれい線治療専門クリニック
福岡Shiwa美容皮膚科 院長
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ヒアルロン酸注射で皮膚壊死が起きる原因
ヒアルロン酸注射による皮膚壊死の 主な原因は、半固体であるヒアルロン酸が血管に誤って注入されることによっておこります。
いわゆる「血管塞栓」というものです。
血管塞栓が生じると、その先の皮膚組織への血流を遮断するため、組織への栄養や酸素が届かなくなり、最終的には皮膚壊死が起こります。
ヒアルロン酸注射で皮膚壊死が起こりやすい施術箇所
特に危険な施術箇所がいくつかあります。
まず鼻部です。鼻はヒアルロン酸注射でも特に人気の箇所ですが、鼻背部は特に注意を払う必要があります。
次に鼻唇溝(ほうれい線)です。ほうれい線に並行して顔面動脈が走行していますが、その配置は個人差があるので注意が必要です。
ヒアルロン酸注射による皮膚壊死が起こった時の症状
ヒアルロン酸注射による血管塞栓は施術直後から起こることが多いです。
しかし、施術後帰宅後に起こることもあるので施術後しばらくは皮膚症状を詳しくみることが重要です。
その初期症状は治療した部分が痛むことです。ただし、麻酔薬を使用していると痛みに気づかない場合もあります。
皮膚の症状としては皮膚の赤みが続き皮膚の色が白くなるなどがあります。
その後特徴的な「網状紫斑」=「リべド」と呼ばれる紫斑が出現します。
この紫斑は字のごとく、メロンの皮のような網目状の赤色や紫色の皮疹です。
その後皮膚が黒色化することもあります。
ヒアルロン酸注射で皮膚壊死が起こった時の治療法
即時の対応
血管塞栓が発生した場合、緊急の処置が必要です。
具体的にはヒアルロニダーゼという酵素を使ってヒアルロン酸を分解させます。
また、患部を温めることで、収縮した血管を開き、血流を促進させることができます。
さらにマッサージも血行を回復させるのに有効です。
とにかく皮膚の状態の変化に気づいたら、できるだけ早くこれらの対策をとることが重要です。
ヒアルロン酸注射による皮膚壊死のリスクを減らすための対策
まずは施術する医師が顔面の解剖によって熟知し、医師は血管への誤注入を避け、必要な深さと角度で注入を行う技術が求められます。
細すぎる針は血管への誤注入のリスクを上げる可能性があるので適切な針の細さの選択も必要です。
また、血管に誤って注入していないか確認する吸引テストもとても重要です。
施術を受ける患者様は、施術部位の手術歴がある方は必ずその旨を医師に伝えてください。
整形歴のある方は通常の血管走行と異なる位置にあることがあるためです。
ただしどんなに慎重な施術下でも皮膚壊死のリスクはゼロではないのでしっかりと医師・患者間での情報提供も重要です。
まとめ
ヒアルロン酸注入は手軽に行えるイメージが強いですが、非常に稀ではありますが重要な副作用の一つである皮膚壊死が存在します。
ヒアルロン酸注入を検討中の方がそのリスクも理解することが重要です。